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歎異抄

歎異抄

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2021/05/07

19:29

『新無量壽観経』に依る。法照 十悪五逆至愚の人、永劫に沈淪して久塵に在り。 一念彌陀號を稱得して、彼に至れば還りて法性身に同ず、と。己上。 〔二・憬興・述文讃十文〕 (一)憬興師の云く、如来の廣説に二つ有り。初には廣く如来浄土の因果、即ち所行・所成を説きたまふ。 後には廣く衆生往生の因果、即ち所摂・所益を顯はしたまふ、と。 (二)又云く、『悲華経』の「諸菩薩本授記品』に云はく、「爾の時に寶蔵如来、轉輪王を讃じて言はく、「善い哉善い哉。 乃至。大王、汝西方を見るに、百千萬億の佛土を過ぎて世界有り、「尊善無垢」と名く。彼の界に佛有す、「尊音王如来」と名く。乃至。 今現在に諸の菩薩の爲に正法を説く。乃至。 純一大乗清浄にして雑はること無し。 其の中の衆生等一に化生す、亦女人及び其の名字無し。 彼の佛世界の所有の功徳、清淨荘厳、悉く大王の所願の如くにして異無し。乃至。 今汝の字を改めて「無量清淨」と爲す」と。己上。『無量壽如来會』に云はく、「廣く是の如きの大弘誓願を發して、皆已に成就したまへり。世間に希有なり。是の願を發し已りて實の如く安住し、種種の功德具足して、威德廣大の清淨佛土を荘厳したまヘり。と。己上。

2021/04/10

18:07

借問ふ「家郷何れの處にか在る」。 「極楽の池中七寶の臺なり」。 彼の佛の因中に弘誓を立てたまへり、 「名を聞きて我を念ぜば総て迎へ来らしめん」と。 貧窮将富貴とを簡ばず、 下智與高才とを簡ばず、 多聞と淨戒を持てることを簡ばず、 破戒と罪根の深きとを簡ばず、 但迥心して多く念佛せ使むれば、 能く瓦礫を変じて金と成ら令む。 語を現前の大衆等に寄す、 「同縁去らん者早く相尋ねん」。 借問ふ「相尋ねて何れの處にか去かん」。 報へて導く「彌陀淨土の中に」。 借問ふ「何に縁りてか彼に生ずることを得ん」。 報へて導く「念佛自ら功を成ず」。 借問ふ「今生罪障多し、如何ぞ淨土肯て相容らんや」。 報へて導く「名を稱すれば罪消滅す、喩へば明燈の闇中に入るが若し」。 借問ふ「凡夫生を得るや、否や、如何ぞー念に闇中明ならん」。 報へて導く「疑を除き多く念佛すれば、彌陀決定して自ら親近したまふ」。要を抄す。

2021/04/09

17:37

『阿彌陀經』に依る。 西方は道に進むこと娑婆に勝れたり、 五欲及び邪魔無きに縁りてなり、 成佛するに諸の善業を労しくせず、 華臺に端坐して彌陀を念ず。 五濁の修行は多く退轉す、 念佛して西方に往くには如かず、 彼に到れば自然に正覚を成る、 苦海に還来して津梁と作らん。 萬行之中に急要と爲す、 迅速なること浄土門に過ぎたるは無し、 但本師金口の説のみにあらず、 十方の諸佛共に傳へ證したまふ。 此の界に一人佛の名を念ずれば、 西方に便ち一蓮有りて生ず、 但ー生常にして不退なら使むれば 此の蓮還りて此の間に到りて迎ふ。略抄す。 『般舟三昧經』に依る。慈愍和尚 今日道場の諸衆等、 恆沙曠劫より総て經来れり。 此の人身を度るに値遇し難し、 喩へば優曇華の始めて開くが若し。 正に希に淨土の教を聞くに値へり、 正に念佛法門の開くるに値へり、 正に彌陀の弘誓の喚びたまふに値へり、 正に大衆信心ありて回するに値へり、 正に今日經に依りて讃ずるに値へり、 正に契を上華臺に結ぶに値へり、 正に道場に魔事無きに値へり、 正に無病にして総て能く来るに値へり、 正に七日の功成就するに値へり、 四十八願要ず相携ふ。 普く道場の同行の者に勧む、 「努力迴心して歸去来」。

2021/04/07

12:33

『佛本行經』に依る。法照 何者をか之を名けて「正法」と爲る、若箇道理是れ「真宗」なる、好悪今の時須らく決擇すべし、一 一子細朦朧たること莫れ。 正法能く世間を超出す。持戒・坐禪を「正法」と名く、念佛成佛は是れ「眞宗」なり、佛言を取らざるを「外道」と名く、因果を撥無する見を「空」と爲す。 禪・律如何ぞ是れ「正法」ならん、念佛三昧是れ「眞宗」なり、性を見心を了るは便ち是れ佛なり、如何が道理相應せ不らん。略抄す。

2021/04/06

20:09

【七・釋文引證】 〔一・法照・五會讃ー文〕 『淨土五會念佛略法事儀讃』に云く、夫れ如来、教を設けたまふに、廣略根に隨ひ、後に實相に歸せしめんとなり。 眞の無生を得ん者には、孰か能く此を與へん哉。 然るに念佛三昧は、是れ眞の無上深妙の門なり矣。 以みるに彌陀法王の四十八願、名號佛事を爲し、願力禪す、但當に念佛すべし。 豈念を離れて無念を求め、生を離れて無生を求め、相好を離れて法身を求め、文字を離れて解脱を求むるに同じからんや。 乃至。 粤大なる哉、至理の眞法、一如にして、物を化し人を利すること弘誓各別なり。 故に我が釋迦、濁世に應生し、阿彌陀、淨土に出現したまふ。 方は穢淨両殊なりと雖も、利益斎ーなり。 若し修し易く證し易きは、眞に唯淨土の教門なり。 然るに彼の西方は殊妙にして、其の國土に比し難し、也嚴るに百寶の蓮を以てす。 九品に敷きて以て人を収むること、其れ佛の名號なり、と。乃至。 『稱讃淨土經』に依る。釋法照 如来の尊號は甚だ分明なり、十方世界に普く流行す、但名を稱ずるのみ有りて皆往くことを得、觀音・勢至自ら来り迎ヘたまふ。 彌陀の本願特に超殊せり、慈悲方便して凡夫を引く、一切衆生皆度脱す、名を稱すれば即ち罪消除することを得。 凡夫若し西方に到ることを得れば、曠劫塵沙の罪消亡す、六神通を具し自在を得、永く老病を除き無常を離る。

20:08

【六・私釋】〔一・歸命釋〕 爾れば「南無」之言は歸命なり。 「歸」の言は至なり。 又歸説、(きえつ)よりたのむなり 又歸説、(きさい)よりかかるなり 「命」の言は業なり、招引なり、使なり、教なり、道なり、信なり、計なり、召なり。 是を以て、「歸命」は本願招喚之勅命なり。 〔二・發願廻向釋〕 「發願廻向」と言ふは、如来已に發願して衆生の行を廻施したまふの心なり。 〔三・即是其行釋〕 「即是其行」と言ふは、即ち選擇本願是なり。 〔四・必得往生釋〕 「必得往生」と言ふは、不退の位に至ることを獲ることを彰すなり。『經』には「即得」と言へり、『釋』には「必定」と云へり。「即」の言は、願力を聞くに由りて、報土の眞因決定する時剋の極促を光闡するなり。 「必」の言は審(つまびらか)なり。然(しからしむる)なり、分極(わかちきわむる)なり、金剛心成就の貌なり。

2021/03/28

08:36

(削除されました)

2021/03/27

17:22

(四・般舟讃一文) 又云く、門門不同にして八萬四なり。 無明と果と業因とを滅せん爲なり。 利剣は即ち是れ彌陀の號なり。 一聲稱念するに罪皆除こる。 微塵の故業、智に隨ひて滅す。 覚へざるに眞如の門に轉入す。 娑婆長劫の難を免るゝことを得ることは、特に知識釋迦の恩を蒙れり。 種々の思量巧方便をもって、選んで彌陀弘誓の門を得しめたまヘり、と。已上 要を抄す。

17:22

(二)又云く、善悪凡夫をして廻心起行して盡く往生を得使めんと欲す。 此れ亦是れ「證生增上縁」なりと。已上。

17:21

(三・観念法門二文) (一)又云く、「摂生增上縁」と言ふは、『無量壽經』の四十八願の中に説くが如し。 佛言はく、「若し我成佛せんに、十方の衆生、我が國に生ぜんと願じて、我が名字を稱ずること、下十聲に至るまで、我が願力に乗じて、若し生れずば、正覚を取らじ」と。 此れ即ち往生を願ずる行人、命終らんと欲する時、願力摂して往生を得しむ。 故に「摂生增上縁」と名く、と。

17:21

(ニ・玄義分二文) (一)又云く、「弘願」と言ふは『大經』の説の如し、「一切善悪の凡夫、生を得る者は、皆阿彌陀佛の大願業力に乗じて增上縁と爲ざるは莫し」と。 (二)又、云く、「南無」と言ふは、即ち是れ歸命なり。 亦是れ發願廻向の義なり。 「阿彌陀佛」と言ふは即ち是れ其の行なり。 斯の義を以ての故に、必ず往生することを得、と。

17:08

若し衆生有りて、阿彌陀佛を稱念せんこと、若は七日・一日・下至一聲・乃至十聲・一念等に及ぶまで、必ず往生を得。 此の事を證成せるが故に、「護念經」と名く、と。 次下の文に云く、「若し佛を稱して往生する者は、常に六方恆河沙等の諸佛の爲に護念せらるゝが故に、『護念經』と名く」と。 今既に此の增上の誓願有り、憑む可し。 諸の佛弟子等、何ぞ意を励まして去らざらん也。(智昇法師集の『諸經禮懺儀』下卷は善導和尚の禮懴なり、之に依る。)

17:07

次下に説きて云く、東方恆河沙等の如き諸佛、南・西・北方及び上下、一(いち)一(いち)の方の恆河沙等の諸佛、各本國に於て、其の舌相を出して、偏く三千大千世界を覆ひて、誠實の言を説きたまはく、「汝等衆生、皆是の一切諸佛の護念したまふ所の經を信ず應し」と。 云何が「護念」と名くる。

17:07

又『彌陀經』に云ふが如し、若し衆生有りて阿彌陀佛を説くを聞かば、即ち名號を執持す應し。 若は一日、若は二日・乃至七日、一心に佛を稱じて乱れずば、命終らんと欲する時、阿彌陀佛諸の聖衆と現に其の前に在さん。 此の人終らん時、心顚倒せず、即ち彼の國に往生することを得ん。 佛、舍利弗に告げたまはく、「我是の利を見るが故に是の言を説く。若し衆生有りて是の説を聞かん者は、應當に願を發して彼の國に生ぜんと願ずべし」と。

17:07

又『無量壽經』に云ふが如し、「若し我成佛せんに、十方の衆生、我が名號を稱せんに下十聲に至るまで、若生まれずば、正覚を取らじ」と。 彼の佛今現に在して成佛したまヘり。 當に知るべし、本誓重願虚しからず衆生稱念すれば必ず往生を得。

17:06

又『観經』に云ふが如し、「若し阿彌陀佛を稱禮念して、彼の國に往生せんと願ぜば、彼の佛即ち無數の化佛・無数の化観音・勢至菩薩を遣はして、行者を護念したまふ」。 復先の二十五菩薩等と、百重・千重行者を圍遶して、行・住・坐・臥ー切時・處、若は昼・若は夜を問はず、常に行者を離れたまはず。 今既に斯の勝益有す、憑む可し。 願はくは諸の行者、各至心を須ゐて往くことを求めよ。

17:06

(五)又云く、問うて曰く、「阿彌陀佛を稱念し禮観して、現世に何なる功德利益がある」。 答へて曰く、若し阿彌陀佛を稱すること一聲するに、即ち能く八十億劫の生死の重罪を除滅す。 禮念已下も亦是の如し。 『十往生經』に云はく、「若し衆生有りて阿彌陀佛を念じて往生を願ずる者は、彼の佛即ち二十五菩薩を遣はして、行者を擁護し、若は行・若は坐・若は住・若は臥、若は昼・若は夜、一切時・一切處に悪鬼・悪神をして其の便を得令めず」と。

17:05

(四)又云く、現に是れ生死の凡夫、罪障深重にして六道に輪廻し、苦言ふ可からず。 今善知識に遇ひて彌陀本願の名號を聞くことを得たり。 一心に稱念して往生を求願す。 願はくば佛の慈悲、本弘誓願を捨てたまはず、弟子を摂受したまふべし、と。已上。

17:05

(二)又云く、唯念佛の衆生を観して、摂取して捨てざるが故に、「阿彌陀」と名く、と。已上。 (三)又云く、彌陀の智願海は深廣にして涯底無し、名を聞きて往生せんと欲へば、皆悉く彼の国に到る。 設ひ大千に満てらん火をも直に過ぎて佛の名を聞け。 名を聞きて歓喜し讃ずれば皆當に彼に生ずることを得べし。 萬年に三寶滅せんに、此の經、住すること百年ならん。 爾の時聞きて一念せば、皆當に彼に生ずることを得べし、と。要を抄す。

17:04

答へて曰く、「諸佛の所證は平等にして是れ一なれども、若し願行を以て来し収むるに因縁無きに非ず。然るに彌陀世尊、本深重の誓願を發して、光明名號を以て十方を摂化したまふ。但信心をもッて求念せ使むれば、上一形を盡し下十聲・一聲等に至るまで、佛の願力を以て往生を得易し。是の故に釋迦及以び諸佛、勧めて西方に向ふるを別異と爲す耳。亦是れ餘佛を稱念して障を除き罪を滅すること能はざるに非ざるなり、知る應し。若し能く上の如く念念相続して畢命を期と爲る者は、十は即ち十ながら生じ、百は即ち百ながら生ず。何を以ての故に、外の雑縁無くして正念を得るが故に、佛の本願と相應することを得るが故に、教に違せざるが故に、佛語に隨順するが故なり」と。已上。

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